2018 年 74 巻 2 号 p. I_579-I_590
橋梁の耐荷力評価のための数値モデルにおいて,床版と主桁は剛結とされることが多い.これは,非合成桁橋として設計された橋梁でも,設計荷重レベルでは主桁上フランジと床版は一体となっているという考えに基づいており,この考えを裏付ける実橋梁における計測結果も報告されている.しかし,冗長性解析のような損傷を有する橋梁の余耐力を評価する場合,健全時の設計荷重レベルと同等の床版と主桁の一体化は必ずしも期待できない.そこで本論文ではスラブアンカーの非線形挙動を考慮できる非合成多主桁橋の非線形有限要素解析を行い,スラブアンカーの合成効果が冗長性評価に及ぼす影響を検討した.その結果,桁端部損傷時では主桁曲げ応力に対するスラブアンカーのモデル化の影響が大きいこと,また,設計荷重レベルでスラブアンカーが降伏する可能性があることがわかった.