抄録
レベル2地震動に対する高度な安全性が要求される球形ガスホルダーについて,上部基礎一体かつ3次元形状にてモデル化し,地盤の地震前~中~後までの力学挙動を一貫して扱うことができる水~土連成有限変形解析コードを用いて,3次元地震応答解析を行った.その結果,最大級の地震想定では,(1)地震発生直後にすべての杭が「塑性化」して支持機能をほぼ完全に失うため,杭を想定しない場合の挙動とほぼ同一になること,(2)ゆえに,最大限の地盤の不等沈下によるホルダーの傾斜を想定した終局状態は相当程度安全側の評価になること,また,(3)今回の解析条件下であれば,終局状態の評価は2次元解析で十分に可能であること,さらには,(4)ホルダーの構造安定性を一体的に評価する必要性があることを示した.