2019 年 75 巻 2 号 p. I_401-I_410
東北地方太平洋沖地震では,特に千葉県浦安市の埋立て地盤で甚大な液状化被害が発生し,多くの戸建て住宅が不同沈下の被害を受けた.しかし,既存の液状化対策工法は,施工面積およびコストの面から戸建て住宅への適用は難しく,小規模構造物に対する新しい工法の開発が期待されている.効果的な対策工法提案のためには,戸建て住宅の液状化被害の発生メカニズムを解明することが重要となるが,戸建て住宅の特徴としては,構造物が近接して立地していることが挙げられる.そこで本研究では,戸建て住宅の液状化被害発生メカニズムの解明の第一歩として,液状化被害に及ぼす隣家の影響について,数値解析的に検討した.その結果,①構造物 1 棟単独評価の場合は傾斜せずに安定を保っても,隣接家屋を考慮すると互いに影響し合って傾倒被害が生じ得ること,②隣接家屋がある場合でも,構造物の傾倒向きや隣接家屋の影響範囲については,建物 1 棟単独の変位ベクトルの向きで判断できることが示唆された.