2019 年 75 巻 2 号 p. I_455-I_466
本研究では,浸透による支持力低減を利用するスカートサクション基礎の沈下予測や制御時に重要な土-水-構造物の相互作用のメカニズムを理解するため,1g 場の簡易浸透模型実験を実施し,上向き浸透による基礎の沈下現象を観察した.メカニズムの理解を補うため,設計で用いられている極限支持力式,三次元浸透流解析および大変形問題に優れたSPH法による数値解析など複数の観点から基礎的な考察を行った.実験結果より,極限支持力式による沈下開始の制御および動水勾配管理による沈下量の定量化を実現した.一方で浸透による噴砂および水みちの形成などの局所化現象が制御を困難にすることも明らかになった.また,数値解析では模型実験の沈下発生のタイミングを再現でき,実機の基礎貫入制御をする上で重要な知見が得られた.