2019 年 75 巻 2 号 p. I_509-I_518
一様等方性乱流中の慣性粒子の自己相似クラスタリングが数値的にも理論的にも示唆され,乱流中に共存する自己相似マルチスケールコヒーレント渦によって説明されている.しかし,粒子クラスタリングとマルチスケール渦の間の自己相似関係の直接的な抽出はまだされていない.本論文では,粗視化された乱流場における高渦度領域をサンプリングし,粗視化された歪速度テンソルの固有ベクトル空間で粒子分布の平均をとることにより,非圧縮一様乱流の直接数値計算のデータを解析した.その結果,高渦度領域が慣性粒子の低密度領域を生成し,そのサイズと形状が粗視化レベルと粒子の慣性の大きさ(St )に依存することがわかった.また,得られた平均速度場中で慣性粒子の運動を追跡すると,粗視化レベルとSt の値に依存する楕円形の領域を周回することがわかった.