2019 年 75 巻 2 号 p. I_531-I_537
気泡バースティングにより生成される微細飛沫発生量は海洋性エアロゾルの供給量を決定する重要なファクターであるにも関わらず,エアロゾル観測の困難さから未だそれを精度よく予測する為のモデルは提案されていない.本研究では空気負イオン濃度観測が海洋飛沫観測精度の向上に寄与し得るかどうかを検討する為の基礎的な検討材料を得る為の室内実験及び現地観測を行った.室内実験では気泡バースティングに応答した周囲の空気負イオン濃度の変化の特徴を明らかにした.また現地観測ではこれまでに飛沫発生量予測のモデルパラメータとして用いられてきた風速,波高,泡沫占有率と空気負イオン濃度との関係について調査し,特に気泡バースティングにより飛沫発生量を直接支配すると考えられる泡沫占有率が空気負イオン濃度の変化を最もよく記述することが明らかになった.