2020 年 76 巻 1 号 p. 1-6
本研究では,数種類の砂質土試料を用いて行った一面せん断試験結果から提案された,上下せん断箱間の隙間幅設定の基準となると考えられるスレスホルドライン(TL)の有効性を個別要素法(DEM)により検討した.平均粒径および粒度が異なる4種類の試料を作製して一面せん断試験の状況をDEMにより再現し,試験時の隙間幅の大きさを変化させたシミュレーションを行った.その結果,DEMシミュレーションにより得られたスレスホルドポイント(T.P)はTLに比べて最大差が0.17mm程度となり,実材料実験より得られたTLとほぼ同様な傾向を示すことが分かった.今回の結果および過去の検討結果から,TLは試料の平均粒径および粒度の影響を受けない傾向があり,一面せん断試験でのせん断箱の隙間幅設定において有効な指標となる可能性があることが示唆された.