2020 年 76 巻 1 号 p. 75-86
既存橋梁の運用において,構造状態を反映した確率論的な耐震性能評価の重要性が認識されるようになり,効率的な構造信頼性解析手法の確立が必要となっている.本研究では,自動的に限界状態面近傍のサンプルを選択して代替モデルを構築する適応型クリギングと,破壊確率の算定に影響の大きい部分空間を段階的に絞り込むマルコフ連鎖モンテカルロ法を組み合わせることで,効率的に破壊確率を算定するAK-MCMC法について検討を行った.動的非線形問題への拡張を目的に,既往手法で構築した代替モデルを用いたSubset法による破壊確率の算出方法を提案し,経年劣化を考慮した免震橋梁の耐震性能評価への適用性を検討した.結果として,本手法は破壊確率の大きさが異なる健全時と劣化時いずれにも低計算負荷で耐震性能評価に適用可能なことを明らかにした.