土木学会論文集A2(応用力学)
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和文論文
スペクトル展開を用いた確率弾塑性モデルにおける物性パラメータ間の相関の考慮
羽場 一基
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2020 年 76 巻 2 号 p. I_237-I_246

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抄録

地盤には物性パラメータ間の相関が存在するため,地盤のリスク評価ではそれらの効率的な取り扱いが重要である.本論文では,スペクトル展開を用いた確率弾塑性モデルにおいて,物性パラメータ間の相関を考慮する方法を提案する.提案手法では,互いに相関する物性パラメータに主軸変換を適用し,物性パラメータをスペクトル展開する.物性パラメータ間の相関と空間的相関の両方を考慮する場合,計算自由度の増大が実務的な課題となる.その回避策として,強い相関を持つ物性パラメータの第一主成分のみに空間的相関を考慮する方法を提案し,その理論的根拠を示す.また,弾性係数と強度に相関がある弾塑性体の確率的応力歪関係を評価し,その影響を整理する.その結果,物性パラメータ間の相関を考慮した確率的応力歪関係は複雑な挙動を示すが,本手法を用いることで,応答値の期待値と分散を効率よく評価できることがわかった.複雑な確率的降伏過程において,数値解析することなく,物性パラメータの不確実性から応答値の不確実性を予測することは難しい.そのため,地盤を対象とするリスクの定量化には,物性パラメータ間の相関を考慮した評価が重要である.

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