2020 年 76 巻 2 号 p. I_313-I_323
海底地すべりは海底ケーブルの破断や地震動を伴わない津波を引き起こす危険性が指摘されている.海底地すべりによって励起される津波の規模は,地すべり土塊の移動速度に影響を受けるとされている.本研究では,海底地すべりの発生原因である過剰間隙水圧の上昇に着目した地すべり模型実験を実施し,地すべりの変位および速度の計測を行った.その結果,海底地すべりの挙動はその速度の経時変化の特徴から 3 種類に大別されることを明らかにした.大規模なすべりに進展したケースにおいては,すべり初期の速度は小さいが,速度一定の定常状態を経た後に急激にすべりが進展するクリープ破壊的な挙動を示した.さらに陸上地すべりと同様に,二次クリープ状態における速度と斜面崩壊に至るまでの時間の関係が両対数グラフで直線近似できることが示された.