2020 年 76 巻 2 号 p. I_337-I_346
資源の有効利用の観点から,コンクリートに多様な材料の適切な使用が求められる.そのために,使用材料がコンクリートの性状に影響を及ぼす要因やメカニズムの把握が必要である.それを知る手段にコンクリート内部の変形分布の可視化がある.著者は開発した X 線 CT 装置から得た 3 次元画像を用いた 3 次元画像相関法による可視化を検討してきた.本研究では,その確立のため,現時点での手法でコンクリート内部の変形計測への適用範囲を確認し,その改良方法を検討することを目的とする.実験の結果,異なる粗骨材を使用したコンクリート内部のモルタルが破壊に至る違いを計測できた.一方,モルタルの挙動を計測するにあたり,細骨材の粒子の存在により,トレーサーが存在できる範囲が限定されるため,局所的な計測を行うにあたり,細骨材の一部をトレーサーに置換するなどが重要だと考えられた.