2020 年 76 巻 2 号 p. I_461-I_468
蛇篭護岸はこれまで高波等により砂浜に形成された浜崖の更なる後退を抑止するための対策工として用いられてきた.透過性構造物である蛇籠は砂の輸送を完全に抑止するものではないものの,波による更なる浜崖の侵食を防ぎながら砂浜の自然な回復を促す.中でも円筒形の蛇籠であるだるまカゴは矩形蛇籠よりも中詰め材の片寄りが生じにくいため長期的に高い耐久性が期待できると共に,護岸を形成する際の配置の自由度が高い.本研究では室内実験を通してだるまカゴ護岸の耐波安定性並びに護岸背後の浜崖地形変化の特徴を評価する.だるまカゴ護岸は通常水位のときは高い耐波安定性を有し,高水位となった場合もカゴの配置によって安定性を強化できることが明らかになる.まただるまカゴはそのまま使用してもある程度の浜崖後退抑止効果を有するが,防砂シートで側面を覆いカゴ同士の接合部からの砂の吸出しを低減させることにより,浜崖対策工としての機能を更に強化できることが明らかになる.