2020 年 76 巻 2 号 p. I_469-I_480
交互砂州はその幾何学的特徴や伝播特性から波動現象と見做されている.既往の研究により交互砂州の発生条件や発達などの様々なことが解明されてきたが,波動現象の重要な性質である伝播については未解明なことが多い.特に,交互砂州の伝播速度は空間分布を持つのか,その時間的な変化はどのようなものかは未解明である.本研究では,交互砂州の伝播速度の空間分布とその時間的な変化の把握のために,まず模型実験による交互砂州の発生・発達過程における水面形状と底面形状を計測した.次に計測値と推定式を組み合わせることで交互砂州の伝播速度の空間分布とその時間的な変化を定量化した.その結果,交互砂州の伝播速度は発生から発達にかけて空間分布を持ち,時間経過と共にその空間分布が拡大することを明らかにした.