2021 年 77 巻 2 号 p. I_163-I_170
ゴム材料などの超弾性材料の変形に対する応力の応答は,一般に複雑な非線形挙動を示す.既往の超弾性構成則では,変形が大きい範囲までの多軸の挙動を,標準的な2 軸材料試験の結果すべてを精度よく表現することが困難であることが知られている.また,実際の構造物の応力解析で現れる応力状態は,標準的な材料試験でデータを取得している範囲に留まっておらず,結果として応力解析が構造物の実験結果を精度良く表すことができないことも多く経験されている.そこで本研究では,応力解析で現れる変形状態分布を考慮して材料定数を同定するという重要度評価を取り入れた新しい材料定数の同定手法を提案し,数値計算によりこの手法の有効性を確認する.