2021 年 77 巻 2 号 p. I_227-I_238
実務における重要構造物周辺の地盤安定性評価では,有限要素法を用いた 2 次元等価線形解析により地盤の応力を評価し,事前に設定したすべり線上の安全率を算出する.しかし,複雑な地盤モデルにおいて,安全率が最小となる臨界すべり線を事前に設定することは困難である.そこで,本論文では,すべり線をアイソパラメトリック 2 次要素により離散化し,粒子群最適化法を用いて臨界すべり線を探索する手法を提案する.アイソパラメトリック 2 次要素を用いることで,要素内のすべり線が内部座標の 2 次関数で補間されるため,少ない節点で複雑なすべり線形状を表現することが可能になる.さらに,複数の地盤モデルに対する臨界すべり線探索を実施し,提案手法を用いることで,すべり線を折れ線で表現する既往研究に比べ,より効率良く安定的に臨界すべり線を探索できることを示す.