2021 年 77 巻 2 号 p. I_371-I_380
社会基盤構造物に対して,優れた特性を有する FRP を用いた補強・補修に関する研究が盛んに行われている.さらに,近年では,損傷した FRP を FRP で補修する検討も行われている.FRP 同士の接着接合では,接合端部において主部材となる FRP の表面近くの繊維が破断する場合があることが報告されている.また,接着剤のはく離も問題となる.しかし,これまでに FRP 同士の接着接合の破壊に関する理論的な研究は見られない.本研究では,FRP 同士の接着接合において破壊の要因となる繊維破断と接着剤のはく離に着目し,理論的な応力解析手法からその力学特性を明らかにした.結果として,FRP を FRP 接着で補強することで,被補強部材表面の強化繊維に無補強時よりも大きなひずみが作用することが明らかとなった.