2021 年 77 巻 2 号 p. I_381-I_392
近年の異常気象によって大規模な土石流が発生し,鋼製透過型砂防堰堤が破損する事例が報告されている.この主因は設計荷重を上回る石礫型土石流が衝突したことが原因とされている.今後,大規模な土石流に耐えうる構造設計を目指すには,この破壊メカニズムに関する解析的検討が望まれている.そこで本研究は,被災事例の調査結果で整理された破壊シナリオの推定について,その可能性を検討するために事前模型実験を行ったうえで,力学的分析を個別要素法によって検討したものである.その結果,前面を支える下流側の斜材の先行破壊に加えて,鋼管継手部の強度が中空鋼管に比して低いことが重要な因子であることが明らかになった.