2021 年 77 巻 2 号 p. I_495-I_506
Acoustic Emission(以下「AE」と称する.)を非破壊検査に用いる試みが行われており,その試みの一端としてAE到達時刻を入力値とするAE位置標定法や,AEトモグラフィ法等により材料内部の破壊または物性を可視化した例が報告されている.これらの手法ではAEの正確な到達時間が必要となるが,AEの測定データが膨大になるため,到達時刻を目視で判読することは容易ではなく自動的に検出することが望ましい.本論文では,AE時刻歴波形ノイズ部の実行電圧を判定基準とした到達時刻を自動的に検出する手法を提案する.また,提案法の妥当性を模型試験より検証し,既存の手法であるAR-AICと比較した結果,提案法は低S/N比かつ,せん断波等が混在したAE波形に対して既存の手法と比較してより正確なAE到達時刻を検出した.