2021 年 77 巻 2 号 p. I_507-I_514
本論では,損傷が進行したコンクリートを対象に,X 線 CT により空隙量および空隙形状を評価した.加えて,AE 法を導入した圧縮強度試験を実施し,AE エネルギと空隙分布との関係を考察した.検討の結果,空隙分布によって AE エネルギ発生挙動が異なることが明らかになった.空隙表面積が小さい供試体では複数の AE エネルギのピーク値が確認され,段階的に破壊が進行した.一方,空隙表面積が大きい供試体では線形的に AE エネルギが増加し,急激に破壊が進行した.ひずみが 100×10-6 までの AE エネルギと空隙体積および空隙表面積には正の相関があることが明らかになった.以上より,圧縮応力場における載荷初期の AE エネルギに着目することで,空隙分布を評価できる可能性があると考えられる.