抄録
近年の地球温暖化は近い将来に急激な海水準の上昇を引き起こすことが予測される.しかし,海水準上昇が海岸線や河床の縦断形状に与える影響はよく知られていない.本研究では,海水準の上昇が河川デルタに及ぼす影響をパプアニューギニアのフライ・ストリックランド川を対象として数値シミュレーションを行い,その河川デルタが最終氷期極大期以降の氷河性海水準上昇によっていかなる影響を受けたのかを検討した.その結果,フライ・ストリックランド川のデルタ海岸線は海水準上昇の際に陸側へ後退(オートリトリート)とエスチュアリ化(オートブレイク)を経験していたことが確認された.また,異なる規模の河川系が同一の海水準上昇に対して異なった応答の仕方をすることが判明した.