土木学会論文集B
Online ISSN : 1880-6031
ISSN-L : 1880-6031
62 巻, 2 号
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和文論文
  • 赤松 良久, PARKER Gary, 武藤 鉄司
    2006 年62 巻2 号 p. 169-179
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     近年の地球温暖化は近い将来に急激な海水準の上昇を引き起こすことが予測される.しかし,海水準上昇が海岸線や河床の縦断形状に与える影響はよく知られていない.本研究では,海水準の上昇が河川デルタに及ぼす影響をパプアニューギニアのフライ・ストリックランド川を対象として数値シミュレーションを行い,その河川デルタが最終氷期極大期以降の氷河性海水準上昇によっていかなる影響を受けたのかを検討した.その結果,フライ・ストリックランド川のデルタ海岸線は海水準上昇の際に陸側へ後退(オートリトリート)とエスチュアリ化(オートブレイク)を経験していたことが確認された.また,異なる規模の河川系が同一の海水準上昇に対して異なった応答の仕方をすることが判明した.
  • 渡辺 勝利, 佐賀 孝徳, 國弘 栄司
    2006 年62 巻2 号 p. 186-200
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     開水路の底壁面上に,桟粗度を水深の2倍の横方向間隔で流れ方向に設置し,流れ場に形成された並列らせん流の内部構造の特徴を可視化法を用いて検討した.本流れ場には,桟粗度上に大規模な縦渦構造,粗度間に小規模な縦渦構造が形成される.大規模縦渦構造は,流れ方向に水深の3~4倍程度,横方向に水深の1~1.5倍程度のスケールを有する.縦渦構造の形成領域は相対的に低速であり,そこでは,相対的に高い2つのせん断(∂U /∂y,∂U /∂z)が共存している.これらの構造は,瞬時主流速の遅速や大きな瞬時二次流れ,瞬時の高レイノルズ応力等を生成し,その形成領域が時間的に安定しているため,本流れ場の長時間平均された主流速の遅速分布,大規模旋回流,特徴的なレイノルズ応力の分布が形成される.
  • 後藤 仁志, 鷲見 崇, 酒井 哲郎
    2006 年62 巻2 号 p. 201-209
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
     数値移動床の基幹ツールである個別要素法のコードには一般に陽解法が用いられるので,複雑な境界条件下で流動抵抗が増加すると,粒子の重なりが過大となって異常反発が発生することがある.この対応策として,粒子間接触力の計算ルーチンに陰解法を導入し,抜本的なコードの改変を試みる.新しいコードはシリンダー堆積層崩壊の物理実験と比較して,従来の陽解法と同レベルの良好な再現性を示し,さらに,陽解法では安定した解が得られない急勾配斜面上でも安定に動作した.
  • 田中 仁, 李 炫錫
    2006 年62 巻2 号 p. 210-223
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
     これまで,河口部のwave set-up高さは河口地形の影響を受けていることが指摘されている.ただし,両者の関係に関する定量的検討はほとんどなされていない.この原因として,現地において水位データに比べて河口地形データの蓄積が不十分である点が挙げられる.このため,両者の定量的関係の評価が困難であった.そこで,本研究ではまず室内実験と理論考察を行い,河口部におけるwave set-upに関する検討を行った.さらに,顕著なwave set-upが見られ,かつ高頻度地形データも蓄積されている一級河川・尻別川を対象として,河口部におけるwave set-up高さの定量的評価,ならびに河口地形との関係に関する検討を行った.また,同河口を対象として,導流堤の建設がwave set-upに及ぼす変化を明らかにした.
和文ノート
  • 松梨 史郎, 今村 正裕, 井野場 誠治
    2006 年62 巻2 号 p. 180-185
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     ダム貯水池堆積物の質的な変化は,湖沼水や下流河川水質に及ぼす影響が懸念されるため,物理的な観点のみではなく,化学的な観点からの検討が必要である.本研究ではダム貯水池で採取した堆積物と湖水を用いて,実験室内で10℃で,直上水の溶存酸素が飽和状態で,水質・底質変化の8ヶ月間の追跡実験を行った.その結果,時間の経過とともに,-9cm~-11cm層において,堆積物中の有機態窒素・リンは減少した.間隙水中のアンモニア態窒素・リン酸態リンは増加し,堆積物中の有機物が分解し間隙水中に移行したことが確認された.また実験開始後,硝酸還元,および鉄還元の過程が進行していることが認められた.
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