抄録
氾濫原(堤内地)における減災対策を組み込み,地先の安全度を基準とした治水計画の策定手法を由良川流域に適用し,複数のシナリオ下での最適解を求め,手法の適用性と問題点について考察した.具体的には,防御対象地域を38個のブロックに分割するとともに,ダムの嵩上げ,連続堤,輪中堤の建設,家屋・宅地嵩上げを中心とする施策から,対象地域全体の被害レベルを最小化する施策の組み合わせ,ならびに実施順序を遺伝的アルゴリズムを用いて決定した.その結果,洪水被害を人的被害,家屋等の被害,重要施設の被害の3つの側面からレベル化し,それらを総合して治水対策を評価する方法を用いることで,各施策オプションの持つ効果を反映した解が求められることが確認できた.