抄録
琵琶湖北湖の定期観測値から浮力及び溶存酸素フラックス鉛直分布を評価した.初冬の貯水池でみられる冷却性対流循環の密度流発生時と共通の特徴が認められ下層密度流による深水層への酸素輸送機構とその輸送速度が示された.湖心の酸素サイクルをみると水温による飽和度変化に伴って冷却期は大気から湖水に向かう湖面での酸素輸送があるが,これは安定度長で近似される各月の水温躍層深度までに限定され,全循環直前まで水温躍層は擬似湖底として酸素の鉛直フラックスを最小化し,躍層下方に潜りこむ唯一の流系が密度流である.一方,加熱期は光合成による酸素過飽和が水温上昇に伴う酸素濃度低下を補うため湖面の酸素放出は小さく評価され,通年の酸素交換は物理現象のみで説明できないことが示された.