抄録
薬剤を使用しない農地消毒技術として注目を集めている太陽熱処理法の環境保全型への改良を目指し,和歌山県農業試験場内のビニルハウスで野外実験を実施した.また,消毒期間中の土中温度の変化特性を明らかにするために,野外実験データを利用した数値解析を実施した.本研究では,地下30cmの地温が40°Cの場合には積算100時間が消毒時間の目安になる.野外実験および数値解析の結果より,消毒期間中の地表面温度の日周変化と消毒開始時の初期地温が対象深度の地温変化と消毒時間に影響を与えていることが明らかになった.加えて,数値解析結果から,太陽熱処理を効果的に実施できる地表面温度の日周変化が33°C∼63°C以上であると推察された.