近年の洪水氾濫災害の頻発は現行の治水システムが持つ根本的な課題を浮き彫りにしている.将来型の氾濫原マネジメントを考えるうえに,旧河道や破堤地形などの水害地形を定量的に計測・評価し,地域の洪水特性を考慮した治水対策を実施することが望まれる.本研究では,歴史的に水害常襲地であった宇治川左岸高水敷(河口から43.0km付近)を重点調査域とし,非破壊物理探査法(比抵抗探査および表面波探査)による埋没水害地形の同定を試みた.その結果,高水敷下に埋没した旧河道や砂州等の特徴ある水害地形が検出できた.その特徴は,自動スウェーデン式サウンディング調査,および連続コア採取ボーリング調査・堆積相観察による実証とも調和的である.