2010 年 66 巻 2 号 p. 130-144
二大都市圏である大阪地域と東京地域を対象として,二種類の土地利用規制(床下浸水規制と床上浸水規制)を実施した場合の費用便益評価を行い,土地利用規制の適用性について検討した.その結果,両地域ともに,床下浸水規制より床上浸水規制で総便益が正になりやすく,適用性が高いと思われる結果となった.ただし,大阪地域では,再現期間が5年の降雨を基準とした床下浸水規制を実施したときに総便益が最大となったことから,比較的弱い降雨で床下浸水する領域の土地利用規制が効果的であると考えられる.東京地域では,床下浸水規制の適用性が極めて低い一方で,床上浸水規制にある程度の適用性が認められた.当該地域は,床上浸水による被害が多いと予想されることから,床上浸水を許容しない土地利用規制を実施するのが適していると考えられる.