抄録
九州農政局によって得られた1989年から2008年までの20年間のデータを用いて,諫早湾内の底質環境の経年変化を調べた結果,潮受け堤防建設後,諫早湾の底質は全体的に細粒化し,湾奥部と湾央部では硫化物が増加していることが示された. 2008年夏季において諫早湾の22地点から未攪乱底泥コアを採取し,諫早湾内の底質環境の空間分布特性を調べた.その結果,諫早湾全域において有機汚濁が認められ,特に,潮受け堤防南側の背後の底泥環境がかなり悪化していることが示された.2004年夏季に観測された有明海奥部の底泥環境と比較した結果,2008年夏季における諫早湾の底泥環境は当時の有明海奥部より嫌気状態にあり,硫酸還元の進行が確認された.