土木学会論文集B
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和文論文
諫早湾における貧酸素水塊の風応答特性
松永 信博李 洪源
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2010 年 66 巻 4 号 p. 395-406

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抄録

 九州農政局が提供している諫早湾の海上風データと水質データを用いて,諫早湾に形成される貧酸素水塊の風応答特性を調べた.諫早湾では夏季に南南西の風と北北東の風が卓越する.諫早湾口部や湾中央部の底層で形成された低酸素水塊は,南寄りの風によって湾奥部へ輸送されながら酸素を消費し,貧酸素水塊となる.吹送時間が長い場合や風速が大きい場合,貧酸素水塊は湾奥部で湧昇する.一方,北寄りの風は溶存酸素(DO)濃度の高い表層水を湾奥部に吹き寄せ,底層の水塊を湾口に向かって輸送する.従って,南寄りの風が連吹する場合,諫早湾奥部のDO濃度は低下し,北寄りの風が連吹する時,DO濃度は回復する.貧酸素水塊の岸沖方向の移動速度は,水表面に作用する風応力の大きさに依存するものの,数100m/hのオーダと見積られた.

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© 2010 社団法人 土木学会
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