抄録
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては,坑道周辺に生じる掘削影響領域が周辺の岩盤よりも透水性が大きいために核種が選択的に移行する経路になる可能性がある.掘削影響領域の透水性を低下させる技術としてグラウトが考えられ,周辺のバリア性能へ影響を考慮するとグラウト材料として粘土系材料を選択することが望ましい.この粘土グラウトの掘削影響領域への適用性や透水性低下性能を把握するために,原位置における適用試験と試験結果のモデル化を行った.この結果,粘土グラウトによる掘削影響領域の目詰まり機構を把握することができ,粘土グラウトの注入効率において最適な注入濃度が存在することが示された.