2006 年 62 巻 2 号 p. 320-334
地盤の多相流解析で用いられる水・油・空気3相保持特性に関する経験式を加圧板法と土柱法で吟味した.加圧板法では3相系水分飽和度と水分保持特性曲線は油層厚の薄いときに近い値となったが,土柱法では全液相飽和度と油分保持特性曲線は油層厚が薄いときには一致せず,既往の経験式の信頼性が低いことを示す結果が得られた.油汚染地盤において,観測井で検出される油層厚は数cmオーダーで,油層厚の薄い汚染範囲が面積的に最も大きい.全液相飽和度と油分保持特性曲線が一致する既往の経験式を適用すると,地盤内の油分布範囲と量を過小評価し,危険側の予測結果になることを指摘した.