2006 年 62 巻 2 号 p. 457-470
岩盤の挙動は岩盤内に分布する不連続面に強く影響されることは良く知られている.このような影響を与える不連続面の性質には,不連続面の三次元分布状態と力学的性質がある.本論文は不連続面の力学的性質を取り扱う.不連続面の力学的性質は室内/原位置の一面せん断試験で求めるのが基本である.試験結果からせん断特性と垂直変形性が求まるが,これらは試験面の大きさで変化する“寸法効果”がある.
実岩盤の不連続面の長さは数10cm~数10mに及ぶ.そのため試験結果を用いて実岩盤の挙動を考察するためには,寸法効果を適切に評価しなければならない.本論文は不連続面の寸法効果に関する主要な研究事例を総括し,実規模岩盤の解析に用いるための不連続面のせん断剛性,せん断強さ,ダイレ-ションおよび垂直剛性の設定方法を提案している.