2006 年 62 巻 2 号 p. 471-487
本研究では,飽和・不飽和状態のカオリン予圧密試料及び不かく乱沖積粘土試料を用いて,圧縮・除荷後,ならびにそれに吸水過程を加えた等方圧縮過程後の低拘束圧下での非排水せん断試験を実施した.そして,破壊に至るまでの有効応力経路,ならびにピーク強度や残留強度に検討を加えた.その結果,ピーク強度特性や有効応力経路には,サクションによる弱い粒子間付着力や長期の堆積過程により形成され,構造を生じる強い粒子間付着力が影響する傾向が認められた.また残留強度特性は,サクション応力を考慮した平均基底主応力により飽和・不飽和状態にかかわらずユニークに整理される傾向を示した.さらに,吸水過程によりサクションが消失する場合のせん断強度低下量の予測方法について検討を加えた.