抄録
さんご混じり砂は,炭酸カルシウムを多く含むことからコロイダルシリカ中に含まれる酸性反応剤との化学反応により炭酸ガスが発生する.従来では,1)炭酸ガスによる気泡が改良砂中に残留することで改良砂の強度が得られない,2)土中ゲル化時間が極端に短くなるため地盤への薬液の注入が困難との理由からさんご混じり砂への適用が困難とされてきた.本研究では,さんご混じり砂を用いて作製した改良砂と現地改良砂について力学試験を実施し,現地および室内試験により薬液が流動している場合の薬液ゲル化時間へ与える影響について検討した.試験の結果,拘束圧条件下では改良砂中には気泡の残留がほとんど見られず十分な強度を有すること,薬液が流動している条件下では薬液ゲル化時間が遅延することからコロイダルシリカが適用可能であることがわかった.