土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
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64 巻, 3 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
招待論文
  • 寒川 旭
    2008 年 64 巻 3 号 p. 672-679
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     本稿では,地震考古学の研究によって得られた成果の概要を紹介する.まず,液状化現象について,噴砂の流出に伴う礫や砂の級化や地層の流動など,遺跡で得られた新しい知見を示した.また,液状化現象の痕跡を強震動の証拠と考えて,南海トラフから発生する巨大地震の発生年代の解明に用いた.内陸地震については,活断層のトレンチ調査や文字記録に地震痕跡を加えて解釈することで地震の全体像が把握できる.さらに,千数百年前頃に各地に築造された古墳については,地滑りなどの地変を量的に検討できる.
英文論文
  • Akira KOBAYASHI, Kiyohito YAMAMOTO, Tomoya YANAGIMOTO, Hideshi TSUNEMA ...
    2008 年 64 巻 3 号 p. 629-638
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
    As a nondestructive investigation method of soil structure, the radar method was developed in this study. Although the ground penetrating radar has been used as a geophysical investigation, the method is not effective for the homogeneous soil structure. To improve the efficiency of the method, the concept of impact echo method for concrete structure was applied to the radar method. The newly developed method was verified for the laboratory test. Then, the field measurement was carried out for the embankment of irrigation tank. It was found that the proposed method was effective to examine the water content distribution and roughly location of water table.
和文論文
  • 沢田 和秀, 八嶋 厚, 森口 周二, 前田 英史, 横田 善弘, 西村 淳, 松本 七保子, 間 昭徳, 黄 雨
    2008 年 64 巻 3 号 p. 440-455
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     「美しい山河を守る災害復旧基本方針」に基づき河川護岸に補強土工法を適用するには,河川環境下における固有の設計条件・構造細目が必要となり,従来の陸上補強盛土の設計・施工法の枠内では捕らえられない問題点を明らかにしなければならない.
     本研究では,ジオグリッドを用いた補強土河川護岸工法の設計・施工法を確立することを目的として,実験・観測・解析結果を基に,ジオグリッド補強土護岸工法の設計・施工マニュアル(案)を作成した.本論文では,各種実験・観測・解析結果のうち,特に設計手法確立のために重要な項目について詳細を示すとともに,作成した設計法(案)について報告する.
  • 榊原 辰雄, 加藤 正司, 吉村 優治, 澁谷 啓
    2008 年 64 巻 3 号 p. 456-472
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     砂のような粒状材料の粒子形状がせん断層に与える影響について二次元個別要素法による二軸圧縮解析を行い検討した.供試体モデルとして豊浦砂と相似粒度で粒子形状が異なる4種類のモデルを用いた.ピーク強度時に動員される内部摩擦角は形状係数であるFUと相関が認められ,その関係はほぼ線形関係で表され,せん断初期の相対密度に応じて平行移動した関係が得られた.また,せん断帯形成に伴う粒子回転を調べ,供試体内部に周期的な小規模なせん断帯が形成されていることを示唆する層を確認した.さらに,粒子回転の程度がダイレイタンシーに影響しており,その程度は長短度で表される粒子形状の影響を受けることを確認した.
  • 谷山 尚
    2008 年 64 巻 3 号 p. 485-494
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     内陸の浅部で大きな地震が起きると,断層の変位によって構造物が被害を受けることがある.基盤の断層運動による未固結な表層地盤の変形を調べる模型実験が行われてきているが,横ずれ断層によって生じる複雑なせん断帯については,全形成過程を再現した解析も詳細な生成メカニズムの解明もなされてはいない.横ずれ断層によるせん断帯の形成とそのメカニズムについて,模型実験を対象とした個別要素法解析を行って検討した.花弁状構造を持つせん断帯やリーデルせん断帯など,横ずれ断層に特徴的なせん断帯を解析で再現できることを示した.また,ダイレタンシーによる応力や鉛直面内のせん断が,花弁状構造やリーデルせん断の形成の原因となっていることを示し,1次せん断帯の形成により応力が変化して低角度の2次せん断が形成されることを確認した.
  • 林 宏親, 三田地 利之, 西本 聡
    2008 年 64 巻 3 号 p. 495-504
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     北海道の泥炭地盤においてボーリング孔を利用した原位置透水試験を実施するとともに,深さ方向ならびに堆積面方向に採取した不撹乱泥炭試料に対して段階載荷圧密試験を実施し,泥炭地盤の透水特性およびその異方性などについて検討を行った.
     その結果,段階載荷圧密試験から求めた透水係数は,泥炭層の平均的な透水係数を示すと考えられる現場透水係数よりも10∼30倍程度小さな値であった.また,泥炭および有機質粘土の透水係数は,顕著な圧密圧力依存性を有し,初期間隙比や強熱減量の増加に伴い,透水係数の変化係数が直線的に増加することがわかった.さらに,泥炭の透水異方性に圧密圧力依存性は認められなかった.
  • 近藤 義正, 仲山 貴司, 赤木 寛一
    2008 年 64 巻 3 号 p. 505-518
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     掘削土砂に体積比で15∼40%の気泡及び適量の水を加えた懸濁液である気泡安定液は,地中連続壁工法の安定液としての諸機能を有している.掘削土砂の粒度やコンシステンシー特性等は気泡安定液の物性に影響を与えるが,気泡と水の添加量を調整することにより,各種の土質特性に対し溝壁の保持性,流動性等々を管理限界内に保つことができることを実験的手法により証明した.それに基づいて,安定した施工を行うための気泡安定液の管理手法を考案した.この管理手法を2箇所のソイルセメント地中連続璧工事に適用し,TRD掘削機による工事実績をもとにその妥当性を検証した結果,気泡安定液によるTRD掘削が適切に管理できることが実証された.また,排泥土量はベントナイト系安定液の約1/2∼1/3になることを確認した.
  • 滝沢 聡, 島峰 徹夫, 野澤 伸一郎, 大町 達夫
    2008 年 64 巻 3 号 p. 532-543
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     新潟県中越地震によってJR東日本が所有する信濃川発電所のフィルダム形式の三つの調整池にも被害が生じた.三つの調整池のうち,新山本調整池は,堤体の沈下,のり面の亀裂,噴砂等の被害が生じたが,調査の結果,コアには損傷が認められず,貯水機能を失うような深刻な被害は免れ,補修可能な表層のみの損傷であった.ただし,沈下に関しては,最大で堤体高さの2%もの沈下を記録し,堤体高さの60%付近の沈下が大きかったことが分かった.この沈下は,各種調査から,特定のすべりによる沈下ではなく,堤体全体が沈下したものと判断される.
  • 水野 健太, 土田 孝, 近井 玲子, 松永 康司
    2008 年 64 巻 3 号 p. 550-564
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,砂杭打設による応力履歴を受けた杭間粘土の物理・力学特性を様々な視点から調べ,低置換率SCP工法に対する実用的な変形解析手法の確立を目的としたものである.まず,1)低置換率SCP工法が採用された2つの海上護岸工事について打設前後の土質試験結果を整理し,杭間粘土の物理・力学特性の経時変化について考察を行った.次に,2)再構成試料を用いた室内三軸CU試験によって砂杭打設やその後の放置期間を再現し,杭間粘土の有効応力状態や非排水せん断特性を要素レベルで確認した.そして,3)杭間粘土の応力履歴を考慮した変形解析手法を示し,動態観測による計測値を用いて提案手法の適用性を調べ,提案手法によって低置換率SCP改良地盤の地盤変形状況を精度良く評価できることを示した.
  • 岡 二三生, 小高 猛司, 大野 康年
    2008 年 64 巻 3 号 p. 571-584
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     さんご混じり砂は,炭酸カルシウムを多く含むことからコロイダルシリカ中に含まれる酸性反応剤との化学反応により炭酸ガスが発生する.従来では,1)炭酸ガスによる気泡が改良砂中に残留することで改良砂の強度が得られない,2)土中ゲル化時間が極端に短くなるため地盤への薬液の注入が困難との理由からさんご混じり砂への適用が困難とされてきた.本研究では,さんご混じり砂を用いて作製した改良砂と現地改良砂について力学試験を実施し,現地および室内試験により薬液が流動している場合の薬液ゲル化時間へ与える影響について検討した.試験の結果,拘束圧条件下では改良砂中には気泡の残留がほとんど見られず十分な強度を有すること,薬液が流動している条件下では薬液ゲル化時間が遅延することからコロイダルシリカが適用可能であることがわかった.
  • 渡部 要一, 田中 政典, 野口 孝俊, 宮田 正史
    2008 年 64 巻 3 号 p. 585-597
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     東京国際空港では,逼迫する航空需要に応えるため,沖合に4本目の滑走路(D滑走路)を建設する再拡張事業が進められている.建設予定地において,粘土層については乱さない試料を採取して各種室内試験により地盤定数を評価した.また,砂地盤については標準貫入試験によるN値で地盤の状態を評価した.一連の試験結果を基に,地質学的な知見も踏まえて当該地区の地層構成を明らかにした.粘土地盤の各種地盤定数については,建設予定海域で得られた全試験結果を深度方向にプロットし,工学的な判断を加味した代表的な深度分布を設定した.設定した深度分布の平均値からのばらつきに関する統計的表現により,設定した深度分布が試験結果のばらつきの中でどのように位置づけられるかについても検討した.
  • 西山 哲, 大西 有三, 矢野 隆夫, 龍 明治
    2008 年 64 巻 3 号 p. 598-606
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     本研究はトンネルの壁面に計測点として設置したターゲットをデジタルカメラで撮影し,当ターゲットの3次元座標を算出する技術の研究結果を記述するものであり,具体的には走行中の車両から撮影された多数のデジタル画像に写ったターゲットの3次元座標を解析的に求め,その値を使って内空変位等のトンネルの変状に関する情報を得ることで,供用中のトンネルの維持管理を効率的に実施することを試みたものである.本論文では基準点を設けることなく計測点間の距離を算出するための方程式とともに,限られた位置からの撮影でも高精度で計測できる条件式を導き,実験によりトンネルの内空変位等をmm以下の精度で計測できることを実証した結果について述べる.
  • 大槻 敏, 楠見 晴重, 松岡 俊文
    2008 年 64 巻 3 号 p. 607-615
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     岩盤斜面内部には多くの不連続面が存在しており,それらは崩壊の原因となる.特に,滑り崩壊は流れ盤方向の不連続面に支配されているが,その複雑な崩壊メカニズムが完全に解明されているとは言えない.また,既往の研究では,基礎的実験や単純形状のモデルによる数値解析が行なわれていることが多く,実際の崩壊現象が詳細に検討された研究事例は稀である.そこで本研究では,岩盤斜面崩壊の3次元シミュレーション解析を可能とする個別要素法プログラムを構築し,岩盤斜面の詳細な崩壊過程を検討することを試みた.解析の結果,このシミュレーション手法は,滑り崩壊現象を表現しうることが確認された.また,解析対象斜面の亀裂進展の評価及び崩壊岩塊の重心位置の追跡などから,崩壊過程の推定を行なった.
  • 中谷 昌一, 白戸 真大, 井落 久貴, 松井 謙二
    2008 年 64 巻 3 号 p. 616-628
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,水平力を受ける杭の地盤抵抗の弾性限界点について検討した結果を述べるものである.本研究では,数多くある杭の水平載荷試験データから一定の条件を満足する37データの荷重変位曲線を用い,数学的及び工学的な観点から地盤抵抗の弾性限界点について検討を行った.その結果,弾性限界変位について,平均値が杭径の5∼6%,変動係数が40∼60%という値が得られ,許容水平変位は,杭径の2∼4%とすることを提案できた.
  • 佐川 修, 兵動 正幸, 中田 幸男, 吉本 憲正, 藤原 愛
    2008 年 64 巻 3 号 p. 639-649
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     低レベル放射性廃棄物処分施設におけるベントナイト系人工バリア材としての砂・ベントナイト混合材料の力学特性について検討した.この材料は,建設後数十年間は監視期間として地下水を低下し続けるため,不飽和状態にある.本研究では,最適含水比・最大乾燥密度状態で締固めた砂・ベントナイト混合材料に対し,サクション制御可能な三軸圧縮試験機を用いて平均基底主応力載荷・除荷試験及びせん断試験を行い,圧縮・せん断特性に及ぼすサクションの影響を実験的に検討した.サクションは,砂・ベントナイト混合材料の体積変化を抑制する働きを示すとともに,平均基底主応力載荷中にサクションを除荷すると体積の減少が確認された.また,サクションの増加により,せん断強度並びに剛性の増加が認められた.
  • 神谷 浩二, 井上 光弘
    2008 年 64 巻 3 号 p. 650-661
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,筆者らが提案した透気試験装置・手法を用いて,排水と吸水過程での水分特性曲線と透気係数の実験的関係を調べつつ,水分特性曲線から透気係数を推定する従来の関数モデル式の測定値への適合性を分析したものである.BurdineとMualemによる関数モデル式を比較して検討した結果,Burdineモデル式は,排水過程で測定した飽和度と透気係数の関係に比較的適合する傾向にあった.しかし,間隙の屈曲による透気係数への影響を表すパラメーターξ値は土質などによって異なることが得られ,その最適値を用いるとき両モデル式のいずれによっても排水・吸水の両過程での測定値を良好な精度で再現できることが判明した.また,最適なξ値は,水分特性曲線の形状と相関関係があることなどが明らかになった.
  • 岡村 未対, 来山 博昭
    2008 年 64 巻 3 号 p. 662-671
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     土の飽和度が僅かに低下するだけで液状化強度は急激に増加する.本研究では動的遠心模型実験のための飽和地盤を遠心加速度場にて作製する方法について検討し,飽和度に及ぼす遠心加速度の効果を実験的に確認した.実験では,まず飽和度を0.1%以上の精度で測定する方法について示し,続いて重力場及び遠心加速度場にて地盤底部から注水して作製した地盤の飽和度を計測した.その結果,飽和過程において地盤の過渡的不飽和領域でエントラップされる空気が飽和度低下の原因であることがわかった.遠心加速度を作用させることにより過渡的不飽和領域の厚さが減少し,負圧と組み合わせることによって豊浦砂では99.8%,細粒分を含む細砂でも99.3%の飽和度を達成した.また注水時間を大幅に短縮することが出来た.
  • 操上 広志, 竹内 竜史, 藪内 聡, 瀬尾 昭治, 戸村 豪治, 柴野 一則, 原 稔, 國丸 貴紀
    2008 年 64 巻 3 号 p. 680-695
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/22
    ジャーナル フリー
     独立行政法人日本原子力研究開発機構は,北海道幌延町において地層処分研究の一環として幌延深地層研究計画を進めている.本論文では,地上からの調査研究段階のうち,地下水流動に関する主な調査研究の成果を体系的に説明した.水文調査では,涵養量が河川流域によって異なり,これが植生や地形に依存する可能性を示した.ボーリング調査では,原位置試験規模の透水係数にはばらつきや深度依存性があること,室内試験規模の透水係数は過去に受けた応力状態の影響も反映していることがわかった.調査を踏まえた地下水流動解析からは,地下水が河川流域を跨いで流動していることや,深部に高い全水頭が保持されていることがわかった.
  • 宮下 秀樹, 中村 三昭, 曹 西
    2008 年 64 巻 3 号 p. 696-711
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/22
    ジャーナル フリー
     粒状体的性質が卓越する土の土圧計測は,流体圧の計測と異なり十分な信頼性を有しているとは言い難い.設置された土圧計で,被測定物である土に応力集中が生じる.この影響を少なくするには,剛性が土と同等な土圧計を使用することが有効である.これを実現するために,合成ゴムと金属板との積層材を起歪部に用いた新しいタイプの低剛性土圧計を開発した.土圧計側面に作用する側圧の影響を補償する目的で開発した三軸可変空気圧検定法で較正方法を確立して,砂圧検定を実施した.その結果,低剛性土圧計の出力誤差やヒステリシス特性について,従来のダイヤフラム型土圧計やピストン型土圧計の誤差論にはない新たな特性を確認することができ,最適な土圧計を設計・製作する上で有効な知見を得た.
和文報告
  • 荒木 裕行, 三谷 浩二, 保田 圭二, 高下 正剛, 吉田 秀典, 長谷川 修一
    2008 年 64 巻 3 号 p. 473-484
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     不良地山におけるNATM施工では,周辺への影響を可能な限り抑制するとともに安全な施工空間を確保するため,補助工法が採用される.地表面沈下抑制のために多用される補助工法として,長尺鋼管先受け工法の一種であるAGF工と垂直縫地工が挙げられる.どちらも多くの施工実績があり,その施工効果は経験的に広く知られているものの,両工法の施工効果が明確に比較検討された事例は見られない.本研究では,両工法が近接して施工された事例を対象とし,施工時に計測された変位データを詳細に分析するほか,2次元有限要素解析を実施してそれぞれの有する変位抑制効果について検討した.この結果,同じ地山で比較するとAGF工より垂直縫地工の方が高い変位抑制効果があることが明らかとなった.
  • 清原 雄康, 風間 基樹
    2008 年 64 巻 3 号 p. 519-531
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     火山灰質土である八戸しらす,築館土からなる盛土を野外に作製し,降雨時の盛土内の体積含水率およびサクションの変化挙動を2004年から2006年までの結果をもとに整理し,連続雨量や降雨時間と体積含水率の増加特性とその経年変化,体積含水率とサクション関係から野外環境下における模型地盤の水分特性履歴を求めた.また,カラム試験により晴天時の各土質での植栽の有無による蒸発散特性を定量的に把握するとともに,野外盛土での植栽を施さない期間と施した期間での,降雨時後の体積含水率の変化挙動の違いを定量的に評価した結果を報告する.
和文ノート
  • 山崎 浩之, 金田 一広, 足立 雅樹, 原田 良信, 山田 和弘, 高橋 但
    2008 年 64 巻 3 号 p. 544-549
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/22
    ジャーナル フリー
     静的圧入締固め工法(コンパクショングラウチング工法:以下CPG)は低流動性モルタルを高圧で地盤内に圧入し,地盤を締固める工法である.CPGは既設構造物の液状化対策工法として実施工で採用されているが,地盤隆起や土圧増加などCPG施工時の地盤挙動は詳細に調べられていないのが現状である.本ノートでは,CPGによる圧入締固め時の地盤挙動を模型試験で調べ,地盤の隆起,土圧係数K値の増加について考察している.さらに,CPG施工された地盤の地震時特性を主に液状化に関して振動台試験で調べている.
  • 白子 博明, 杉山 太宏, 外崎 明, 赤石 勝
    2008 年 64 巻 3 号 p. 565-570
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/20
    ジャーナル フリー
     一次圧密中に二次圧密を示す粘土の圧密量−時間曲線を予測するために,一次元圧密解析法を提案した.土の構成モデルは,一次圧密速度ėpと二次圧密速度ėsの和で表す間隙比速度ėに基づいている.このモデルで使う4つのパラメーターCc, Cc*, Cαcν*は,標準圧密試験の圧密量−時間曲線から簡単に決定あるいは仮定できる.提案モデルの検証のために,標準圧密試験で観測された圧密量−時間曲線と計算結果が比較され,両者に満足する一致が見られた.この計算結果から一次圧密中の二次圧密による間隙比速度ėsは,載荷直前のそれよりも2∼3桁増加することが示されている.
  • 石川 達也, 尾崎 悠太, 三浦 清一
    2008 年 64 巻 3 号 p. 712-717
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/22
    ジャーナル フリー
     本研究では,低応力下においても顕著な破砕性を示す火山灰質粗粒土の力学特性に及ぼす凍結融解作用の影響を検討するために,実地盤で生じる凍結融解現象を三軸室内で再現可能な試験機を新たに開発し,火山灰質粗粒土の三軸圧縮試験と保水性試験を行った.その結果,非凍上性の火山灰質粗粒土でも破砕性を有する場合には,凍結融解作用により粒子破砕が生じ,融解時に体積収縮する結果,密度が増加するにも関わらずピーク強度は低下し,保水性は高まった.したがって,積雪寒冷地にある火山灰質粗粒土の力学特性の検討には,粒子破砕特性に及ぼす凍結融解作用の影響を評価する必要があることを示した.
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