抄録
本研究では土砂崩壊による労働者の被災防止を目的に簡易な崩壊検知装置を試作し,その適用性を実大模型実験と遠心模型実験により調査した.この装置は小型軽量なパイプひずみ計であり,貫入用スクリューが下端に備わる.斜面の表面から浅い範囲に発生するせん断変形増分を計測対象とすることにより,設置と計測を容易にした.実験では労働災害の発生が多い法先部切土による崩壊を再現し,応答ひずみ(rs) を計測した.rs増分と経過時間の間にはクリープ曲線的な関係が崩壊の数分前より認められ,危険性の増加が検知された.この時間は労働者の避難行動を可能にし,土砂の直撃による重大な災害を防止するものであり,斜面浅層におけるせん断ひずみ増分の計測は施工時斜面の崩壊監視に有効なことがわかった.