抄録
本研究では,硬質な結晶質岩を対象に地下深部で掘削工事を行う際の湧水量低減を目的とした効率的なプレグラウチング方法について検討している.セメントグラウトの高濃度化は効率性の点では優れているが,注入孔内の岩盤亀裂入口において目詰まりが発生しやすいことが課題である.そこで,単一亀裂や複数亀裂を対象とした目詰まり試験を実施した結果,単一亀裂の場合には目詰まり発生前に,注入圧力を切り上げることで注入量を増大可能であるが,複数亀裂の場合には開口幅の大きな亀裂に集中的にグラウトが透過するため,注入圧力の切り上げにより小さな亀裂における目詰まりを解消することは現実的ではないことが判明した.この結果を基に,中高濃度配合を用いた効率的なプレグラウチング概念を提案した.