2018 年 74 巻 2 号 p. I_102-I_112
コンクリート打設は,技能者の経験則に基づく機器の操作等の手動の作業が多いため,熟練技能者の経験知を後進に継承していくことが極めて重要となる.我が国の建設業では,高齢化の進行によって熟練技能者が次々と引退していくと予想されているため,技能継承が喫緊の課題として挙げられている.課題解決の一方策として,熟練技能者の経験知を計測・収集し,形式知に置き換えて後進に継承できる可能性があるが,現時点では,熟練技能者の経験知の計測可能性は明らかにされていない.
本研究は,コンクリート打設作業における技能継承の基礎技術の開発を最終目標として,バイブレータの差し込み位置・時間の計測手法を考案した.そして,模擬現場および実現場で考案手法に則した計測実験を実施し,有用性のある知見を得た.