抄録
我が国では少子高齢化社会の到来を迎えており,コンパクト・プラス・ネットワークの方針の下で都市構造を変化させようとしている.その結果,誘導施策による人口流出・都市機能の移転が進む一方で,郊外にむけた都市化は依然として進行しつつあり,都心部・郊外部での低未利用空間の増加が危惧されている.低未利用空間の状態を表す一指標として空き家率があるが,都市全体を対象とするためその調査には多大な労力と時間を要することが指摘されており,今後必要となる中長期的なモニタリングに採用するには課題があった.そこで本研究では,国や地方自治体が定期的に取得・更新する情報に着目し,ベイズ統計に基づいた空き家推定モデルの構築を試みた.現地調査結果との比較から,本モデルの適用により85%以上の推定精度が得られることが明らかとなった.