2019 年 75 巻 2 号 p. II_34-II_42
近年,わが国では,高度経済成長期に集中して建設された橋梁の多くが建設後50年を経過し,老朽化による損傷箇所が増えてきた.このような損傷を放置すると橋梁の崩壊へとつながる可能性もある.その損傷を早期発見するために,国土交通省は2014年に道路法施行規則の一部を改正し,道路橋は近接目視により5年に1回の頻度で点検を行うこととなった.これにより,点検作業における業務量が増加し,点検業務を行う専門知識を備えた技術者の確保と点検作業の効率化を早急に行うことが求められている.
そこで著者らは,点検業務を行う若手技術者の教育と今後の維持管理計画への活用を目的として,VR空間において点検作業を疑似体験できるMRヘッドマウントディスプレイ(以下「MR-HMD」という)による橋梁点検体験システムを開発した.