2019 年 75 巻 2 号 p. II_8-II_16
2014年に公共インフラ施設(橋梁等)の5年に1度の定期点検が法制度化された.全国で約73万橋ある橋梁のうち,53万橋が橋長2~15mの小規模橋梁である.これらの橋梁には点検技術者が容易に近づくことができないことが多い.そこで,本研究では,小規模橋梁を対象にして,目視点検の代替となる点検手法の検討を目的として,点検ロボットの開発,3次元モデルデータ作成の効率的手法の検討,3次元モデルによる点検結果の管理システム,AIによる写真からの損傷箇所の抽出という4つの観点で検討を行った.
研究の成果として,実証実験を複数回実施し,利用シーンに応じた技術の適用範囲を整理し,機能要件定義を明確にした.これは,実運用に向けて開発するための一資料となり,今後の小規模橋梁における点検の効率化,生産性の向上,安全性等の発展に寄与することが大いに期待できる.