2020 年 76 巻 1 号 p. 42-52
本研究は,同時多発的に広範囲で発生する異なる形態の斜面崩壊危険箇所評価の必要性を指摘した上で,目的変量を多群とする数量化II類(以下,多群数量化II類)に基づく斜面崩壊形態分類アルゴリズムを提案したものである.地震により発生した「表層崩壊,深層崩壊,地すべり」と「未崩壊地」の4群を目的変量に,各種地理情報と衛星リモートセンシングデータから作成した素因データを説明変量に設定した.個体数量散布図・判別効率表から,総合精度84%,Kappa係数0.76となり,多群数量化II類による判別精度が保証された.さらに,サンプルスコアに対するクラスタリング(最短距離法)を通して,崩壊形態別の潜在危険箇所分布を表示した斜面崩壊形態分類図(FTCマップ)を作成し,同時多発型・異種斜面崩壊危険箇所評価支援上,有用となることを示した.