2020 年 76 巻 1 号 p. 63-73
自動運転技術の進展・普及に伴い,自動運転用地図の重要性が増加している.自動運転用地図における道路縁の一つにU字溝がある.蓋付きU字溝は形状的な特徴が乏しいため,これまで自動図化が困難であり,手動図化においても多くの労力を必要とした.本報では,蓋付きU字溝に空いた穴に着目し,車載移動計測装置(MMS)で取得した点群を用いて,蓋付きU字溝を自動抽出する手法を提案する.蓋付きU字溝の穴は小さいために誤検出の可能性があるが,蓋が等間隔で整列されているという性質を用いて抽出精度を向上させる.実証実験によって実環境における蓋付きU字溝を抽出した結果,81.2%の抽出精度が得られた.処理時間も十分現実的であるため,早期実用化が可能である.これにより手動図化が自動化され,図化に要する労力やコストの削減が期待できる.