2021 年 77 巻 2 号 p. II_1-II_8
人口減少社会では,都市構造や経済活動等といった,都市活動規模の縮退が想定される中,長期間に亘り都市空間を占有する社会資本の整備検討には,空間を取り扱った経済モデルによる分析・評価は有用である.一方,データ環境の充実や,将来の不確実性に対するシナリオ設定の複雑化を背景として,モデルの計算負荷が増大傾向にあり,その低減は課題の一つと言える.
本稿では,空間を扱う経済モデルの計算時間効率化を検討することを目的として,杉本らのモデルを対象に,深層学習で広く用いられるRMSpropおよびAdamを最適化計算に適用して,既存適用手法による結果との比較を行った.この結果,計算時間が最大で99%短縮することを確認し,計算時間の効率化に十分貢献することを示した.