2022 年 78 巻 2 号 p. I_82-I_92
現在,我が国の歩行者交通量調査の多くは,現地調査や動画像の目視判断で歩行者を計数している.そのため,ヒューマンエラーによる誤計数や屋外の長時間計測による熱中症の危険性などの課題が山積している.また,不特定多数の人が往来する環境では,頻発するオクルージョンによる歩行者計数精度の低下の課題が顕在化しており,解決策の確立には至っていない.そこで,本研究では,オクルージョンに対応可能な深層学習による人物認識の技術を検証し,課題点を明らかにすることで,実用可能な歩行者交通量の調査手法を導出した.その結果,人物領域の大半が隠れている場面でも考案手法を適用することで高精度に歩行者を計数できることが示された.