抄録
日本の大手建設企業の入札行動に係る意識を探るため,先行する米・英の「経験的スタディ」とされる3論文を参考にした質問紙調査を実施した.調査票の設問には日本独自の事情を一部取り入れ反映させた.その具体的内容は,入札への参加の決定,また,入札価格の決定の際に重視する項目について,36のキーワードを用意した.調査では283の回答が得られた.主な分析では,日米英3ヶ国間の比較を行うことで,共通するキーワードとそうではないものとがわかった.「工事種類」「当該工種の過去の実績」は日米英とも共通してスコアが高かった.また,日本が米・英と違うのは,「現場労働者の雇用条件」「入札時期」等であった.また,日本データを企業規模,工事種類(建築・土木)別にみると,企業規模よりは建築・土木の違いが大きいことが分かった.