抄録
我が国の山間地域では常に落石災害の危険にさらされている一方で,対策に用いることができる予算は厳しく,優先順位を決めて落石災害対策を行う必要がある.このような際に,期待被害額のみによる便益は対策効果を過小評価していることが指摘されている.本研究では,平均・分散アプローチを援用することで,所与の予算制約の下で災害リスクと対策後の損失額の不確実性の重み付き和を最小化する最適対策戦略を決定する数理最適化問題を定式化する.斜面災害発生確率が独立と仮定した場合には,この問題は二値整数線形計画問題(BILP)となる.仮想データを用いて提案したモデルの挙動を確認すると共に,岐阜県飛騨圏域における落石災害対策計画に適用することで,提案した手法の有用性を検証した.