抄録
総合評価落札方式では最低価格者以外の落札が生じており、技術等の優位性が反映された状態といわれている。本研究ではいわゆる逆転落札に着目し、それら工事の落札価格と得点の実態を明らかにした。具体的には2012年度の徳島県土木一式工事、施工能力審査型118件を対象に最低価格落札と逆転落札を2つの視点で比較分析を行った。逆転落札について、落札率は最低価格落札より低かった。評価値1位者と2位者の得点差は0点~15点に89%の案件が存在し、これは加算点0点~3点分である。技術点1位者の落札可能最高入札価格と実際の入札価格を比較した分析では価格の上乗せが可能であった案件は69%存在することがわかった。以上のことから逆転落札では得点の差が入札参加者の価格決定心理に影響を与える状態には至っていない可能性が考えられる。