抄録
労働災害が多発している中小企業に対する安全指導の実態を把握するため,各都道府県労働局を対象にアンケート調査を実施した.その結果,数多くの労働局では,労働行政運営上,建設業を,第三次産業,製造業,陸上貨物運送事業と並び重点産業にあげ,リスクアセスメント,健康障害,安全教育等を重点項目にあげた.また,建設業で効果が認められた安全指導には,改善事例や労働災害事例を用いた指導,個別指導,グループ討議や発表を含む研修会,産業団体・労働災害防止団体との連携等をあげ,安全指導に役立つもののニーズは,製造業と同様のものとして業種別・作業別のツール,他方,建設業特有のものとして各種労働災害の詳細分析等があげられた.