抄録
東日本大震災において,事前に災害応急対策の支援に関する協定を締結していた地元の建設企業が,公共土木施設の管理者である行政と連携,協力し,災害直後から緊急輸送路となる道路の啓開にいち早く着手し,その後の人命救助や支援物資の実施に大きく貢献した.このことは,災害協定が有効に機能した事例として評価されている.一方で,連絡手段が途絶えるなど,平常時とは異なる状況において,災害協定が実態に則していなかったとの調査報告もあり,東日本大震災を教訓として,既存の災害協定を見直す必要性が出てきている.来る南海トラフ地震に備え,災害応急対策の実施体制の構築は喫緊の課題である.本研究は,大規模災害時においても,行政と建設企業との連携体制のもとに災害応急復旧が迅速かつ適確に実施されるよう,大規模災害時にも対応可能な災害協定の必要条件について考察したものである.