抄録
本研究では,トンネル全体を対象とする空間的な照度低下リスクを,照明ランプの 1)不点,2)光束減衰を考慮したシミュレーションによって評価する方法論を提案する.前者に関しては,個別の照明ランプの不点発生過程を不点発生確率が時間とともに増大するワイブル劣化ハザードモデルを用いて表現する.さらに,照明ランプの光束減衰過程を空間的照度分布モデルに組み込んで定式化する.その上で,モンテカルロシミュレーションによるトンネル内の視認性に関わるリスクシミュレーションモデルを提案する.これにより連続不点による局所的な照度低下の評価に加え,トンネル全体の視認性に関わるリスク評価が可能となる.最後に,実際のトンネル照明を対象とした点検データを用いた実証分析により,提案手法の有効性を実証的に検証する.